昨年末86才で亡くなった高峰秀子さんのエッセイを読んでいます。
高峰秀子さんといえば、私はすぐ「二十四の瞳」や
「喜びも悲しみも幾年月」(♪♪俺等岬の、灯台守りは
妻と二人で、沖行く船の無事を祈って、灯をかざす
灯をかざす・・・・懐かしいなー)を思い出します。
彼女が多くの有名人から可愛がられていたことも聞いていましたが
これを読んで改めて交際の広く深いのに感心しました。
殊に梅原龍三郎さんとは40年ものお付き合いだったようです。
安野光雅さんともツーカーの仲。
子役の頃から苦労されたこともあってか、人や物事を見る目がしっかりしていて
はっきりものを言う姿勢に感服しました。こんな女優さん、人物はそういません。
彼女のエッセイで一番有名なのは「私の渡世日記」ですが
今回は「おいしい人間」を読みました。
彼女が練達の文章家だというのは、つとに有名ですが
読んでみてそのことを実感し、さすが!と感心しました。是非ご一読下さい。
その中から面白い話を二三。
彼女の敬愛する司馬遼さんの話。
新幹線の中で席を立った司馬遼さんがなかなか帰ってこないので
奥様が探しに行くと隣の車両で弁当を食っている。
「私等の車両は隣の車両ですよ」と言ってる所へ
その座席の男性が帰って来て「あ〜それは私の弁当です!」
20年前のハワイでの本当の話。
タクシ・ドライバーの青年が五日間の貸切で
70台の身体の不自由な白人夫婦をあちこちお連れし誠心誠意面倒を見た。
毎日くれるのはわずかなチップだが
それでも不満も漏らさず親切に面倒を見続けた。
別れる時彼等は「有難う、君の親切は忘れない」と述べ百ドル紙幣を一枚手渡した。
それから三年の歳月が過ぎたある日
彼の元に遺産贈与の書類が届いた。
送り主はあの時の白人夫妻だった。
いい話でしょう。
手作りオーダー家具の林工亘