池澤夏樹氏の小説「静かな大地」を読みました。627ページの大作です。
十年前朝日新聞に連載され、とても印象に残った小説です。
彼の先祖の歴史でもありました。

明治の初めの北海道はアイヌの人々の大地でありましたが
明治政府の方針で各地の録を失った士族が移住を始めた時でもありました。
池澤氏の先祖、淡路島の洲本に暮らしていた宗形家も地域の士族と共に
北海道日高地方の静内という地域に移住します。
この物語は宗形家の長男三郎の物語ですが
次男志郎一家の物語でもあります。
土人といってアイヌを蔑むのが一般的だった当時
アイヌの人々と隔てなく付き合い、親交を深め、
一緒に牧場事業を始め、拡大させていった彼等の行く手は
決して安全なものであろうはずもなかったのです。
悲劇的な結末で終わる物語ですが
アイヌと和人との歴史や民族、人種の持つ性格、資質を知る上では格好の物語でした。
(平たく言うと和人は頭はいいがずるいのです。持って生まれたDNAなのでしょくか)
物語の中に出てくる外国人がアイヌについて述べた言葉です。
「アイヌの生き方、山に獣を追い、野草を摘み、川に魚を求める生き方は
欲を抑えさせ、人を慎ましくさせる。いくら欲を張っても鹿が来なければしかたがない。
祈って待つしかない。だから、大きな山の力によって生かしめられる己を知って
人は謙虚になる。山に狩る者は畑を耕す者より慎ましく
畑を耕す者は金を貸す者より慎ましい。
強い相手があってのことだから、慎ましくならざるを得ない」
手作りオーダー家具の林工亘
posted by 桜の工房 at 20:45| 和歌山 ☁|
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